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海半球ネットワークデータセンター

綿田辰吾(東京大学地震研究所)
坪井誠司(防衛大学校地球科学科)
 海半球ネットワークデータセンターでは、海洋島、極東地域に展開される広帯域地震計測、 GPS計測、電磁気計測、超伝導重力計測、深海底での広帯域地震観測、海底ケーブルを用いた地電位観測等のデータを収集、 編集後、一般研究者からの要求に応じて配付する(図1)。

図1 海半球プロジェクトデータセンターでのデータの流れの概要。収集、編集、交換、配付をデータセンターが行う。
ユーザーはブラウザ、電子メールでデータを要求し、データは、ブラウザ、FTP、磁気テープ等により配付される(図2)。

図2 一般ユーザによるデータの要求と、配付されるデータの流れ。
平成10年4月から、データセンターホームページ
http://ohpdmc.eri.u-tokyo.ac.jp
からデータの取得が可能となった。現在(平成10年5月)は、広帯域地震観測データの取得が 可能である。広帯域地震波形のデータの要求方法には、ブラウザ経由、電子メール経由と FTP経由がある。ブラウザ経由の詳しい操作方法は、日本地震学会ニュースレター第10巻1号 27〜28ページに記載されている。
 波形データの種類には、任意の時間帯で切り出す連続データと地震毎にまとめられた イベントデータがあり、共にSEEDフォーマットで公開される。SEEDフォーマットでは、複数 の観測点のデータが一つのファイルにまとめられ、個々の観測点、成分毎の波形データや、 観測点情報などは、別途、IRIS(Incorporated Research Institutions for Seismology, http: //www.iris.washington.edu)や地震研究所(ftp.eri.u-tokyo.ac.jp /pub/src/seismology/) などから公開されているSEEDファイルリーダー(現在の最新バージョンは rdseed.v4.15.r6.tar.Z) を用いてSEEDファイルから抽出する。ブラウザ経由では、連続データとイベントデータが入手でき、 ブラウザ内でダウンロード、または、FTPによるダウンロードを選択できる。100 MBを 越えるような巨大SEEDファイルについては、 テープに入れて送られる。 電子メールでは 任意の時刻、観測点の連続データを指定して、FTPにより取得できる。ブラウザ、電子メールとも、 FTPによる取得を希望した場合、利用者要求にしたがって処理された結果が電子メールで利用者に届き、 利用者がメールの内容に従って anonymous FTPで指定されたマシンに入りデータを取得する。
 イベントデータは、発生年月日時分が判っていれば、ブラウザ、電子メールを経由することなく、 発生時刻の名前がついたSEEDファイルを直接 anonymous FTP(ftp.eri.u-tokyo.ac.jp)により 取得することが可能となっている。データセンターでは、IRIS が作成したイベントデータ(FARM) の供給を受けている。イベントデータはIRIS FARMデータと共に、海半球 FARMデータとして、 SEEDフォーマットで公開されている。anonymous FTP による IRIS FARMのデータ取得の詳細は、 日本地震学会ニュースレター第9巻5号11ページに詳しく解説されている。
続波形データは、データをダウンロードをする前にブラウザ上に表示可能であり、 時間軸をマウスを用いて適当に拡大することもできる。ブラウザを通じて、利用者は各観測点、 各成分の日毎のデータの入手可能状況のリストを見ることができ、これを参考にした連続データの 要求をするとよい。また、100 MB以上のデータを要求した場合は、SEEDファイル作成中、発送済等の 処理状況をブラウザから確認できる。現在は、連続データに関しては 20 Hz広帯域地震波形 (BHZ, BHE, BHN)のみを公開しているが、1 Hzの広帯域地震波形(LHZ, LHE, LHN)、超伝導重力データ、 電磁気データも編集作業が終り次第公開する予定である。
 今年度は、地震研究所の地震地殻変動観測センターに集められている波形データ、防災科学技術研究所 に集められている広帯域地震波形データも、海半球ネットワークのデータと同様に当データセンターを 通じて利用ができるシステムを作成する予定である。文頭へ