本領域においては、沈み込むスラブが何故、ある場合には660km層の上に滞留し、またある場合には突き抜けてから滞留するのか、についての観測の側からの情報が必須である。千島・東北日本弧は、この滞留スラブの形状変化が短い距離の間で起きている稀有の場所であり、その詳細把握は本領域にとって決定的に重要な情報をもたらす。しかるにスラブが滞留する領域がロシア極東地域であり、そこは広帯域地震観測点は殆どなく、通常観測点も大半が休止を余儀なくされている。このため得られるスラブ画像の分解能は他の地域に比べて著しく低い。本計画研究グループはその豊かな日露共同研究の実績を生かして、ロシア極東部で広帯域地震観測を実施する。得られる広帯域データを波形解析することにより滞留スラブの鮮明なイメージを得て、滞留スラブの形状変化のメカニズムを観測の側から明らかにする。

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