「海半球計画」で達成した世界トップクラスの海底地震観測技術を駆使して、北西太平洋縁辺域下でのスタグナントスラブ、特に伊豆-小笠原-マリアナ弧に沿ったスラブの全貌に迫る。このため、広帯域海底地震計群をフィリピン海に配備して計3年間の長期観測を行う。当該地域北部ではスラブが660km不連続面上で滞留しているのに対し、南部では同不連続面を通過している。これら二つの状態の遷移域、および後者の660km不連続面下での様子を、これまで陸上の広帯域地震記録で培われた高度な解析手法を用いて明らかにする。これにより、スタグナントスラブの形状・地震波速度構造、660km不連続面の起伏・速度および密度不連続を詳細にマッピングし、マントル下降流を理解するための基本的な制約条件を地震観測の立場から明らかにする。

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