沈み込んだスラブのマントル遷移層における沈降・滞留過程を明らかにするためには、マントルや地殻を構成する複雑系の物質に対して高温高圧下での精密な物性測定が必要である。本研究ではこのようなマントルや地殻を構成する現実的化学組成をもった物質の、上部マントル~マントル遷移層領域における相転移境界、密度・弾性波速度、熱膨張率、電気伝導度等の物性を、大型マルチアンビル装置(MA)と放射光を組み合わせることにより、従来にない高い精度で決定する。特にマントル遷移層および沈み込むスラブにおいて重要な高圧相であるメージャライトに一つの焦点をあて、その物性を様々な手法により明らかにする。これらの実験データと、領域内の他の研究計画により得られる観測・実験・シミュレーションの結果を比較検討することにより、マントル遷移層におけるスラブ滞留過程の物質科学的モデリングを行う。

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