Pacific Array とは?
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Pacific Array(太平洋アレイ)



Fig. 1. Conceptual image of Pacific Array. The unit array here consists of 10 BBOBSs distributed in a spiral form for a better wavenumber coverage, but actual array configuration should be carefully optimized. The location of unit arrays is also ad-hoc-ly chosen. Crosses and small open circles are existing BBOBS deployments conducted respectively by Japanese and US scientists.

太平洋アレイ(Pacific Array)とは,十数台の海底広帯域地震計をアレイ一単位と した,海底地震計アレイによるアレイ観測計画の仮称です(図1). 海底広帯域地震観測技術の革新により,1−2年程度の観測により, 一単位アレイ直下の一次元地震波速度構造(異方性も含む)が, 海水面から100−150kmの深さ(アセノスフェアの深度まで)まで 推定できるようになりました(図2). この技術革新により,アレイによるアレイ観測を行うことで, 広大な太平洋を効果的にカバーする観測計画の可能性が浮び上ってきました. 太平洋下のマントル構造を実証的に解明し, 1.5億年の太平洋下マントルのダイナミクス・発達史の解明を目指す 研究の可能性が見えてきたことを意味します.



Fig. 2 Conceptual diagram of ocean-bottom broadband dispersion survey.

枠組みが誕生してほぼ50年が経ち,いまや当たり前のことのように思える プレートテクトニクスですが,プレートがそれらしく振る舞えるのはなぜかなど, 基本的な物理メカニズムはまだ良くわかっておらず, 近年リソスフェア・アセノスフェア境界(LAB)の研究に注目が集まっています. 特別推進研究 「ふつうの海洋マントル」 においては, 海洋下のLABの解明を目指す先端的観測研究進めましたが, その途中成果に於いて(Takeo et al., 2016, JGR, in press), 解析技術革新(「Broadband Dispersion Surveyの確立」)が なされました.(図3)海洋におけるマントルの地震観測研究が, これまで主に屈折法探査による海洋モホ面直下(せいぜい10km程度), またはグローバルな表面波トモグラフィーによる深部(〜50km以深)の 大まかな構造(水平方向の波長が数千kmの解像度)のみにとどまっていたことを 考えると,リソスフェア・アセノスフェア全体を深さ方向に 連続的に探査できることなり(図2),観測研究上のブレークスルー であると考えています.



Fig. 3 Example result of ocean-bottom broadband dispersion survey. Combining the seismic interferometry and event analysis, in-situ broadband Rayleigh wave dispersion curves and a corresponding 1D S-wave structure are obtained beneath Philippine Sea (after Takeo et al., 2013, JGR). Similarly, azimuthal anisotropy can be estimated as a function of frequency and depth (Takeo et al., 2016).

「太平洋アレイ」では,このブレークスルーに基礎を置き, 海洋底における1−2年間の広帯域地震計アレイ観測(十数台)を一単位として, 時期をずらしながら太平洋の広い領域をカバーする アレイ観測を構想しています(図1). 海域における大規模観測網の提案はこれまでなされることはありませんでしたが, “アレイのアレイ”を考えることで 国際協力の下,十年程度の時間枠で達成可能な大規模な地震観測網の 構築が研究の視野に入ってきました.