第2回「海半球国際シンポジウム」開催す
川勝 均(東京大学地震研究所)
平成13年1月21日から27日にかけ、山梨県のホテル・マウント富士において、海半球国際シンポジウムが"OHP/ION Joint Symposium"のかたちで"LONG-TERM OBSERVATIONS IN THE OCEANS: CURRENT STATUS AND PERSPECTIVES FOR THE FUTURE"と題して開催された。
図1 会議のProceedingsの表紙。北斎の絵は、富士山に象徴される固体地球を海から見るという海半球計画の思想を表現したつもり。 今回のシンポジウムは、過去5年間に海半球ネットワーク計画によって得られた成果を総括して公表する国際的な場であった。計画開始当初、および前回のシンポジウムで設定された目標等の達成度の評価、その間の関連学問分野の新たな展開を踏まえて、総合的な地球観測の次の先端的ステップへいかに効率的に踏み出していくかを国際的な場(全参加者158名中68名が外国人研究者)で議論・検討した。具体的には前半の海半球シンポジウムでは、7つの口頭発表のセッション("OHP Highlights", "Seismology of a Blue Planet", "Core and Geomagnetism", "Core/Mantle, Pacific Hemisphere", "Transition Zone", "IRIS DMC, Stagnant Slab", "Mid and Lower Mantle")と2つのポスターセッションで計100の講演があった。
今回のシンポジウムの特徴は、前回に続いて地震学・地球電磁気学・マントルダイナミクス・地球内部物性・海底観測の各分野の第一線の研究者が同じ土俵に上がり、地球のダイナミクス・進化、海底観測の現状と将来などを議論したことであるとともに、海半球ネットワーク計画によって新たに発見された「地球の常時自由振動」について開かれた初の国際会議であったことである。特に後者については、常時自由振動の励起源につき様々な可能性が議論され、大気・海洋を含めた地球全体を対象とする新しい地震学(「青い地球の地震学(Seismology of a Blue Planet)」の可能性・重要性が明らかになった。海底観測に先鞭をつけている日本のリーダーシップにより、気象学・海洋学をも含むような新しい学問の展開が示された大きな成果が認識された会議となった。
また、シンポジウム後半のION(International Ocean Network、国際海洋観測網)の会議では、気象学・海洋(生物)学を含む国際的海底観測網の構築を目指して議論が行われ、その成果が“Workshop report”として現在編集されている。今回のシンポジウムは、海半球ネットワーク計画(地震研究所)、海洋科学技術センター主催として開催された。また共催として、デジタル地震観測網機構(Federation of Digital Seismic Network)・国際海洋観測網(ION)が名を連ねている。
会議の詳細、Proceedings、ION workshop report、などはすべて海半球ホームページ(http://eri-ndc.eri. u-tokyo.ac.jp/OHP-sympo2/)で閲覧可能である。
図2 富士山を背景にした参加者の写真。ホームページには、この他めったに見られないような(?)参加者の写真がたくさん掲載されている。