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平成9年度の研究成果 |
海洋島観測研究班(第1班) |
広帯域地震観測グループ |
GPS観測グループ |
[広帯域地震観測グループ] 平成9年度に開発されたダイナミックレンジデータ収録システム(図1) は犬山地震観測所(名古屋大学理学部)でのテスト観測を終え、ポセイドン観測点の改修が始まった。 |
図1 新記録システムのブロック図[詳細] |
新システムの特徴は以下のようである。 1)24ビット精度のΣーΔ型A/D変換器7成分を持っていて、STS-1型地震計の速度3成分(サンプリング周波数は20 Hz)と加速度3成分および気圧変(サンプリング周波数1Hz)が同時に連続観測できる。 2)データのサンプリングはすべてGPS時計に同期している。 3)連続観測の記録は最終的にはMOディスク(640MB)に約1月分収録される。 4)記録交換はごく簡単で、1つのスウィッチのon・offのみで終わる。 5)ダイアルアップ方式で観測点を呼び出し、リモートコントロールで地震計のゼロ点調整やファイルの様子等を見ることができ、緊急時には記録を取り寄せることもできる。 平成9年度にはテジョン(韓国)、パラパット(インドネシア)、ジャヤプラ(インドネシア)、バギオ(フィリピン)、石垣島、犬山の各観測点において新しい観測システムで観測が始まった。このうち、テジョンは韓国側のかねてからの要望で、ポセイドン計画で開設したポハン観測点を資源研究所の敷地内(テジョン市)に移設した。地震計は研究所の裏山に新しく作られた長さ15 mほどの横穴式の地震計室に設置し、記録システムは研究所の建物内に設置した。 また、フィリピンのタガイタイ観測点は都市化が進み、このまま観測を続けるのは良くないということで、ルソン島のバギオ(以前WWSSNの地震計が置かれていたところ)に新しく観測点を開設した。タガイタイでの観測ではSTS-2型地震計が使われていたので、観測はそのまま続け、バギオにはSTS-1型と新観測システム一式を設置し、新設の観測点として観測を始めた。ジャヤプラは当初から新設が予定されていた観測点で、ニューギニア島にある。パラパットや石垣島などの観測点は地震計はポセイドン時代の物をそのまま利用し、記録システムのみを交換した。 新システムには、まだいくつかの問題があるが、送られてくるMOの記録はほぼ満足できる物である。一部の観測点を除き(電話事情のひどく悪いところもある)、 ダイアルアップにより、必要な波形データを取り出すこともできる。図2に示した記録の例はダイアルアップにより集めた5月4日沖縄沖の地震(M=7.7)の石垣島、犬山、テジョンでの記録である。しかし、ダイアルアップでデータを取り寄せるには通話料が高価で、あまり実用的とはいえない。例えば、韓国の観測点から30分程度の長さの記録を取り寄せると、電話料金は4000ー5000 円になる。保守等、緊急に必要な場合以外はデータセンターでまとめられた記録を使う事になろう。文頭へ |
[GPS観測グループ] 本ニュースレターの記事「GPS観測─北の原野から南の離島までプレート境界を漂う」で述べているように、 1)フィリピン海プレート周辺域ではプレート運動の空間的なゆらぎが観測された。 2)オホーツクプレートのプレート運動が検出されたが、オホーツクプレートの存在を裏付けるまでの観測分解能─主として観測期間による─まで到達していない。また、プレート境界の確認も今後の課題として残る。文頭へ |