地球内部電磁気学・グローバル地球電磁気学
 
  メンバー:  清水 久芳(教授) ・  馬場 聖至(准教授)
 
 私たちは、マントルのダイナミクスや、マントル-核システムのダイナミクスを解明し、地球や惑星の成り立ちや進化に関する重要な問題を解決することを目的とした「観測的研究」を行っています。対象に応じて様々な異なる観測を行います。また、観測システムの開発や解析・数値計算手法の開発なども並行して行っています。
 
 
 
1.海洋リソスフェア・アセノスフェアの実態解明
 海洋リソスフェア・アセノスフェアの温度構造、物性は、プレートテクトニクスの根幹を担う重要な要素です。海底電磁気探査による電気伝導度構造推定を通じて、これまでに海嶺軸下での部分溶融過程に関連した水の再分配、年代によるリソスフェア冷却過程の多様性などを実証してきました。現在は、アセノスフェアが柔らかい理由などの、未解明問題に取り組んでいます。
 
2.海洋性島弧地殻の発達過程・火山活動の観測研究
 2013~2021年に噴火活動が活発化した小笠原西之島、近い将来に噴火が予想される伊豆大島周辺の海域で、電磁気探査を実施しています。火山島下のマグマ溜りを電気伝導度構造として描像することを目指しています。そのためには、島上での観測に加え、周囲の海底で観測することが重要です。
 
3.マントル遷移層の電気伝導度構造探査にもとづくマントルダイナミクスと地球の進化の研究
 マントルを構成する岩石の電気伝導度は、その中に含まれる水の量に大きく左右されます。「現在のマントル遷移層に含まれる水の量」をキーワードとして、マントル対流の様式やプレートテクトニクスの始動・発達等を考察し、全マントルのダイナミクスと進化を理解することを目指しています。このために必要な新たな観測、データ解析・解釈手法の開発に取り組んでいます。
 
4.マントル深部構造とマントルー核システムのダイナミクス
 マントルダイナミクスを理解するためには、より深部の情報も必要です。また、マントルと核は様々な相互作用をしながら進化してきました。マントル最下部が非常に複雑な構造をもつことは知られていますが、電磁気学的な構造は未だによくわかっていません。長期間に渡る地磁気と地球電場変動の観測からこの電磁気学的構造を解明し、また、マントルー核の結合したシステムとして捉えることにより、マントルとマントルー核システムのダイナミクスのさらなる理解を目指しています。地球深部期限の地球電場変動を捉えるために、長期間にわたって2000 km を超える長さの海底デーブルを用いた観測を継続しています。