Ocean Hemisphere Research Center OHRC



Structural Exploration of the Whole Oldest Pacific Mantle
最古太平洋マントルの全域構造探査
海洋プレートは海嶺で生まれ,年代とともに冷却すると考えられています.しかし現在手にできる海洋底水深分布などのデータを見る限り,この冷却はある程度の年代までしか見られず,古い海洋プレートでは冷却がほとんど進んでいないように見えます(図1). これはプレートテクトニクス理論の誕生以来50年以上にわたって謎とされている問題であり,プレート成長過程はその基本的枠組みすらまだ理解が進んでいないことを意味します. これまでの研究で,海洋プレート成長は単なる静的な冷却過程ではなく,動的なマントル運動に影響されている可能性が示唆されています. どのような動的過程が関与しているかを直接観測から明らかにするため,私たちは最古太平洋の全域構造探査を実施しています. 日本・韓国・台湾の国際共同研究として,グアム東方沖の海域に,広帯域海底地震計や海底電位差磁力計を展開し,最古太平洋マントルにどのような不均質構造があるかを描き出し,この地域で起こっている動的過程を推定します. 例えば,冷却によって重くなったプレートにより不安定が生じ,対流が生じているかどうかを明らかにすることは重要な課題の一つです. 最古太平洋西部域に観測網を展開し,現在も観測を継続しています(図2)が,今後観測網を東部域に広げ,全域探査を実施することを検討しています.


図1 海洋プレート年代と水深の観測値(赤)
年代とともに冷却されプレートが重くなるため,水深が深くなる.
単純な冷却過程では緑のような曲線に乗ると期待される.



図2 本プロジェクトで設置された観測点
Oldest-1は日本・韓国の共同研究で,Oldest-2は日本・台湾の共同研究で設置された.



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