電気伝導度は、温度・部分溶融の度合い・水の含有量・鉱物科学組成などに敏感な構造パラメータであり、その3次元分布はスタグナントスラブの物理的性質とその形状について地震波速度分布とは独立の情報をもたらす。本計画研究を組織するグループは、「海半球ネットワーク」などの電磁気データにもとづき、世界に先駆けて太平洋域のマントル遷移層の電磁気トモグラフィーによる3次元電気伝導度イメージングに成功した。この結果は地震波トモグラフィーと調和的なものであったが、既存の観測ネットワークの観測点はまばらであるため、解像度の点で著しく不十分なものであった。本計画は、「海半球計画」を通じて世界のトップレベルに到った海底長期電磁気機動観測技術を駆使して、計画研究ウと協力してフィリピン海においてのべ3年間の長期観測を行う事により、電磁気トモグラフィーの解像力を格段に改善し、スタグナントスラブの存在するマントル遷移層の電気伝導度擾乱を検出しようとするものである。

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