研究計画・方法
 本研究では「海半球計画」で構築したSBSO (WP-1)と陸上広帯域地震観測点に加えて、BBOBS(図4)を全数で16台、フィリピン海周辺に最適展開することで、これまでの観測空白域を埋める(図3)。観測は2段階3航海に分けて行い、初回と2回目の17~19年度は12台のBBOBSを中央部と西側(17年度)、中央部と東側(18年度)に展開して基礎的データを取得し解析する。初回の解析結果を基にして、最終の19~20年度の観測では16台のBBOBSを展開する観測点配置をより最適化する。観測期間はどれも1年程度を想定し、公的観測船利用が大陸棚調査などで非常に困難な期間であるために、4航海共に民間の作業船を傭船するものとする。研究代表者である金沢は本研究の全体を円滑に統括し、海底電磁気観測(計画研究エ)との連携を図る。塩原・篠原・望月・山田・杉岡は実際の海底地震観測を的確に実行する。また、塩原・篠原はノイズレベル等の基礎的解析を、望月はBBOBSのデータに適した信号処理・解析手法の開発を行う。一方、データ解析を担当する川勝・杉岡・一瀬は、計画研究イとの解析での調整を図りつつ、各年度の観測から得られたデータと既存のデータを組み合わせ、観測領域でのスタグナントスラブおよび660km不連続面のイメージを作成・逐次更新していく。各年度にはその時点での研究成果を国内外の学会で発表し、最終年度には研究結果を報告書にまとめ国際誌に投稿する。
平成16年度
 16年度は年度途中の研究開始であるため、17年度に開始する観測に向けてBBOBSを新規に4台整備すること、観測点配置の更なる最適化、データ処理手法・解析手法の開発を実施する。
平成17年度以降
 17年度以降は17・18年度にBBOBS各4台を新規整備しつつ、地震研究所及びIFREE所有のBBOBSを、傭船による観測航海で12台設置(17年度)・12台回収と8台再設置及び4台設置(18年度)・12台回収と再設置及び4台設置(19年度)・16台回収(20年度)する。これらの航海は計画研究エの海底電磁気観測と共同で行う。また、信号対雑音比が小さい記録から最大限情報を引き出すための解析手法を開発する。17~19年度には、長期広帯域観測による大量のデータを保管し効率よく利用するために、専用データサーバー装置及び増設ディスクアレイを順次導入する。


海底機動観測での地震観測点配置。
赤い星印のJS4とSWSBでは現在継続的にBBOBSによる観測を行っている。
本観測研究では黄色抜き星印の計16点で観測を行う

広帯域海底地震計(BBOBS)

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