研究計画・方法
本研究では研究目的を達成するために,海底電磁気機動観測の実施,解析のための手法開発,既存データの収集,電気伝導度構造解析を具体的に実行する.研究計画全体の構成,観測実施計画および研究者相互の役割分担は下図に示す通りである.研究代表者は,各分担者らと密接に連絡をとり,計画全体の円滑な進行に努める.また,機動観測の実施計画については計画研究ウの海底地震観測グループと連携協力し,得られるイメージの直接比較を容易にするために,地震・電磁気機動観測の位置はできるだけ同一地点になるよう調整する.
平成16年度
平成16年度には,機動観測に用いる5台の長期型海底電磁力計を購入する.観測担当の分担者らは,次年度の観測実施に備えた感度検定およびランニングテストを,気象庁の地磁気観測所および八ヶ岳地磁気観測所(地震研究所)を利用して実施する.一方,解析担当の分担者らは,電磁気トモグラフィー解析手法の開発および改良をすすめ,過去の研究で開発した構造解析コードの高速化をはかるとともに,逆問題に組み込む際の計算を効率化する.また,国内外の既存の電磁気観測データを収集・コンパイルする.
平成17年度以降
平成17年度に5台のLOBEMを製作して,現有品とあわせて保有台数を20台とする.これらを用いて,平成17年度から20年度までの3年間,フィリピン海に配置した10ケ所の観測点で長期海底電磁気機動観測を実施する.この機動観測のための設置回収航海は4回で,そのうち平成18年度と19年度には一航海で設置と回収を行う.1回目の機動観測が終了し2回目の観測を開始した後,速やかにデータの処理およびインバージョン解析を行う.その結果得られるイメージをもとに,特に高い解像力が必要な地域を絞り込んで,3回目の観測点配置に修正を加える.設置回収航海で使用する船舶は,民間から雇いあげる予定であるが,その費用は計画研究ウで計上する.17年度以降はデータ処理・解析要員として研究支援者を雇用する.観測で取得された時系列データおよび収集・コンパイルした既存の観測データに対して周波数解析を行って,電気伝導度に関する情報を持った電磁誘導応答関数を求める.これらの応答関数を用いて,開発・改良した電磁気トモグラフィー解析手法を駆使して,マントル深部の電気伝導度構造モデルを求める.他の計画研究の結果と比較検討し,総合的モデリングへとつなげる.研究成果を国際学会や国際誌に公表し,報告書をとりまとめる.

Copyright 2004 ERI. All rights reserved.