研究計画・方法 | |
1-1 | 部分3次元対流基礎プログラムの開発 (箱型モデル(亀山)、球殻モデル(鈴木・中川)) |
差分法・有限要素法を用いた部分3次元対流プログラムの開発を行う。実際の地球に近い粘性率の空間変化の計算が行える大規模・高分解能モデルを構築する。深さ660km付近での相転移や粘性ジャンプを取り入れたモデルを構築し、ダイナミックなマントル下降流の走向方向の形状の違いに着目したマントル下降流の挙動の数値シミュレーションを行う。マントル下降流の構造は、計画研究オ、カによって得られた各組成に対するパラメターの値を使用する。球殻モデルに関しては、北西太平洋地域のみを含む部分的な球殻モデルを構築する。箱型・球殻モデルは、密接に連携しながらプログラム開発、モデル構築を行う。逐次両者の比較を行い、プログラムのクロスチェックや地球の曲率の影響の検討を行う。 | |
1-2 | 2次元高度スラブ沈み込みモデルの構築(中久喜・吉岡) |
有限体積法を用いた2次元高度スラブ沈み込みモデルの構築を行う。表面のプレート運動、スラブ及びプレート内応力が、マントルの物性のみによって自己整合的に決まるモデルの構築を行い、現実に近いプレートの沈み込みを実現する。このモデルに基づいて、これまでのモデルでは個別に考えられていたプレート運動速度、スラブ内応力、ジオイドを統一的に説明する動力学的及び物性パラメターの値を評価する。スタグナントスラブの形成及び崩落のメカニズムとして、海溝の後退、高レイリー数、スラブ内の粒子サイズの細粒化など多岐に亘る項目について可能性を探り、取りうるパラメターの値の範囲を特定する。 | |
2 | 部分3次元高度スラブ沈み込みモデルの構築(全員) |
1-1で開発したプログラムと、1-2で構築したモデルを融合させ、部分3次元高度スラブ沈み込みモデルを構築する。すなわち、1-2の自己整合的なモデルを3次元に拡張する。プログラムを並列化し、地球シミュレータへ移植する。このモデルを用いて、計画研究イによって得られた地震波トモグラフィーの結果と比較しながら、北西太平洋地域でのスタグナントスラブの形成・崩落過程の力学的性質・特徴の全容を解明する。 | |
3 | 弾性パラメターの3次元空間分布の特定(吉岡) |
計画研究オ、カの成果を基に、状態方程式を用いて、スラブ及びマントル構成物質とその高圧相に対する各種弾性パラメターの温度-圧力ダイヤグラムを作成する。このダイヤグラムと上記2で構築した3次元モデルで得られたスラブ及び上部マントルの温度分布から、弾性パラメターの3次元空間分布の特定を行う。また、地震波速度の空間分布を計算し、地震波トモグラフィーとの比較を行い、どこにどのような物質が存在するかを推定する。得られた弾性パラメターの3次元空間分布のデータは計画研究イに提供し、3次元不均質媒質中での地震波伝播のシミュレーションの入力データに資する。 |
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