中部マリアナ海域の海溝~古島弧まで、すなわち沈み込み・前弧・島弧・背弧海盆拡大系を対象にした上部マントル電気伝導度構造探査です。この観測を通じて以下の4つのテーマで議論を深め、この系の標準的なモデルを確立することを目指しています。
OBEM10台を展開した2001年から2002年の予備調査の結果、中部マリアナトラフを横断する大まかな2次元上部マントル電気伝導度構造が明らかになりました。
マリアナトラフの下では、海洋底年代(0~6Ma)に関係なく、深さ約100kmくらいから電気伝導度が高くなります。これは東太平洋海膨と類似した特徴で、海洋底拡大時の部分溶融によってマントル中に含まれる水が抜き取られたことを反映していると考えられます。
太平洋側のマントルよりも背弧側マントルの方が約3倍電気伝導度が高く、背弧側マントルの方が温度が高いか水を多く含むことが示唆されます。
2005年12月から2006年9月にかけて行われた3カ国の合同調査では、40観測点を線上に展開してデータを取得しました。これは海底電磁気探査では史上最大規模です。
予備調査で取得したデータと併せて、現在データ解析が進行中です。観測点が圧倒的に増えたことで、より高分解能で信頼性の高い電気伝導度構造モデルが得られると期待しています。